60代のAさんご夫婦は、路上生活をしていました。
夫が倒れて病院に運ばれたのをきっかけに生活保護につながり、夫の退院後、私どもが訪問看護にうかがうようになりました。
夫は最後まで自宅で過ごし、妻(Aさん)と在宅スタッフで看取りました。
その後、今度はAさんに対して訪問看護指示書が出され、訪問看護は続きました。
Aさんは字が書けませんでした。
家が貧しくて学校に行けなかったのです。
訪問看護に行った時には、毎回私がひらがなを書いて、読み方を覚えました。
Aさんはデイサービスに行っており、そこで歌うカラオケが大きな楽しみだったのです。
ひらがなが読めれば、歌詞の字幕がだいたいわかります。
Aさんは私を「○○子ちゃん」と呼んで、訪問を楽しみに待っていて下さいました。
Aさんには気分の浮き沈みがあり、夜中に「死にたい」と電話をしてくることもありました。
「そんなことを言われると、私が悲しくなっちゃうでしょ」
と答えると、
「○○子ちゃんを悲しませることはできないね」
とAさんは言って下さるのでした。
人は人とつながることで生きて行けるのかもしれません。
私はその後職場を異動し、後任がAさんの受け持ちになりました。
今は後任が「△△ちゃん」と呼ばれています。
待っていてくれる人がいる。
訪問を喜んでくれる人がいる。
私たちもまた、利用者さんとつながることで、生かされているのかもしれません。
