公益財団法人 住吉偕成会 住吉病院

甲府市の『公益財団法人 住吉偕成会 住吉病院 』の”エンパワメント”ブログ

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2018-03

よんもくWRAP@3月のお知らせ

投稿時間 : 12時07分42秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

遅くなりましたが、3月のよんもくWRAPのお知らせです。WRAPとは元気回復行動プラン(WRAP=Wellness Recovery Action Plan)の略称で、アメリカ人のMary Ellen Copeland(メアリー・エレン・コープランド)さんが、精神的な困難を抱えている人たちとともに自身も苦しんでいた精神的な病いに対処して自らの主導権を失わずに元気を回復する方法を作ったことが原点です。

 
 
 

山梨で活動をしているWRAPファシリテーターの人々は毎月第4木曜日の夕方、弊病院ケアセンターで、WRAPのつどいを開催しています。

今月は3月22日(木) 18時20分~20時、住吉病院ケアセンターで行います。
今回は、「クライシスプラン」をテーマにして語り合う予定です。ご興味をお持ちの皆さま、よろしかったらお越しください。

参加費:200円+熊本地震災害カンパお願いします
※お菓子の持ち寄り大歓迎です

※詳しくは山梨の精神保健福祉を考える会のブログをご覧ください

http://yarimashoukai.blogspot.jp/2018/03/wrap.html



最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

前回のブログで、アメリカのオピオイド緊急事態について触れました。わが国においては、まだアメリカのような国家的な問題とはなっていませんが、非麻薬性オピオイド鎮痛薬の慢性疼痛への適用承認が行われ、徐々に処方が拡大してきているようです。この流れに関しては、かつてのベンゾジアゼピン系薬剤やSSRIのときのような適応拡大に対する懸念の声もあるようで、日本ペインクリニック学会では以下のようなガイドラインを公開しています。

日本ペインクリニック学会による
非がん性慢性[疼]痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン
https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/kaiin_guideline04.html


6.オピオイド治療が対象となる疾患 より

「・・・・心因性[疼]痛による痛みに対して、オピオイド治療は絶対に選択されるべきではない。オピオイド受容体は、人間の認知・精神情動の起伏・性格・気分などのコントロールに関与しており、心因性[疼]痛にオピオイド鎮痛薬が有効な可能性はあるが、心因性[疼]痛を含む精神心理的問題を持つ患者は、このような問題を持たない患者に比べて、オピオイド鎮痛薬の乱用・依存の危険性がはるかに高く、オピオイド治療は絶対に避けなければならない。また、心因性[疼]痛かどうか確実でない場合や、痛みの器質的原因や病態が不明な患者へのオピオイド治療も推奨されない。オピオイド鎮痛薬の効果判定の際に、鎮痛効果、鎮痛以外の効果のいずれの薬理学的効果であるかが判別できなくなる可能性が高いからである。
 オピオイド治療が検討される患者では、その開始に先立って、患者の精神疾患の既往やアルコールを含めた物質依存の有無、心理・社会的背景について、時間をかけて評価する必要がある。・・・・心理・社会的背景が痛みの強さ、継続に影響していると判断された際には、オピオイド治療を開始しない、もしくは精神科医等の診察を仰ぎ、治療中も診察を継続することが望ましい。」

7.患者選択 では

米国疼痛学会と米国疼痛医学会がまとめた「非がん性慢性[疼]痛に対する長期的なオピオイド治療」に関する診療ガイドラインを、本邦の文化、社会、医療体系に合わせて改変したオピオイド鎮痛薬処方の症例についてまとめた要約が掲載されています。その一部を転載します。

③オピオイド治療以外に可能なすべての治療が施行されているかどうかを確認し、
 痛みを緩和することが可能な治療の選択肢が残されている場合は、その治療を
 優先してオピオイド治療を選択肢から除外する。

④オピオイド治療の選択前に患者の薬物アドヒアランスを確認し、それとともに可能
 な限りオピオイド鎮痛薬以外の処方薬の削減を検討する。オピオイド治療が検討
 される患者では、非オピオイド鎮痛薬、鎮痛補助薬、向精神薬等が数多く処方され
 ていることが多い。処方薬の整理を行う過程で、患者の薬物アドヒアランスの改善・
 向上を行い、薬物療法自体への依存度を推測することができる。

⑤非がん性慢性[疼]痛の治療方針として、がん性[疼]痛のように、痛みの訴えが
 強いことだけでオピオイド治療の適応がある患者と判断されるのではなく、痛みが
 身体機能、QOLやADL(activities of daily living:日常生活活動)に悪影響を与えて
 いて、それらがオピオイド鎮痛薬によって改善を示す可能性が考えられる患者のみ
 を選択する。
⑥オピオイド治療の意義について理解できないほどの重篤な精神疾患あるいは認知
 機能障害を有する患者は、オピオイド治療の適応から除外することが望ましい。
⑦アルコール、ニコチンなどを含む化学物質使用障害(依存、耽溺など)の既往の
 ある患者は、オピオイド治療の適応から除外することが望ましい。

その他、ブプレノルフィンは変形性関節症・腰痛症で非オピオイド薬での治療困難な症例に適用が示されていますが、ペンタゾシンとともに向精神薬に分類されており、トラマドールに関しては処方箋医薬品となっていますが併用に関しても抗うつ剤との併用によるセロトニン症候群、鎮静系薬物によるけいれん閾値の低下や呼吸抑制の増強、飲酒による呼吸抑制の増強などに注意を要する旨が添付文書に記載されています。



最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

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2018-03

オピオイド緊急事態宣言@USA

投稿時間 : 07時33分39秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

https://www.cnn.co.jp/usa/35109487.html
CNNによれば、2017年10月26日、アメリカのトランプ大統領は処方鎮痛薬オピオイドの流行を国民の健康の緊急事態と宣言し、ホワイトハウスのイースト・ルームの聴衆に、「オピオイドの流行を終わらせる世代になる」と語りました。大統領は演説の中で、オピオイドの蔓延について「公衆衛生上の国家的な非常事態だ」と言及。「今起こっているような事態は誰も見たことがない」と指摘し「アメリカ人として、これを続けることは許されない。」と述べました。

米国疾病管理予防センターUS Centers for Disease Control and Prevention(CDC)は処方オピオイド乱用が流行レベルに達したことを明らかにし、2016年の平均余命が78.6年に減少したことを報告しました。これは統計的に有意な減少であり、オピオイド関連の過量投与による死亡率の平均20%増加と一致しているという指摘もあります。アメリカでは1999年以降、オピオイドの過剰摂取による死者数が4倍、1日当たり40人以上までに増加しており、2000年から2015年にかけては、50万人以上が薬物の過剰摂取で死亡したともされています。これはオピオイドの問題に対する過小評価が原因と考えられるものの、外来での慢性疼痛を治療するためのオピオイド処方および転用によっても起こっており、外来患者への過剰処方がこれらを生じさせやすくしていると指摘する論文もあります。

参考:
Ballantyne JC:Opioids for the Treatment of Chronic Pain: Mistakes Made, Lessons Learned, and Future Directions.Anesth Analg. 2017 Nov;125(5):1769-1778.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29049121

2016年3月に、CDCは慢性疼痛治療を目的とするオピオイド系鎮痛薬の処方について新しいガイドラインを発表しています。アメリカでは慢性疼痛の治療では、オピオイド系鎮痛薬の処方量の半量は、プライマリケア担当医によって処方されているため、新ガイドラインは、慢性疼痛の治療において、オピオイド系鎮痛薬を使うべきか、また使うのであれば、適切な開始時期はいつか、といったことへのプライマリケア担当医に向けて作成されています。
このガイドラインには、具体的な薬剤選択肢、使用量、使用期間、そして治療効果やオピオイド系鎮痛薬の使用中止の評価法などについても記載されました。ただし、本ガイドラインからは積極的な癌治療や緩和ケアや終末期介護を受けている患者さんは対象者からははずされています。

新ガイドラインでは12件の推奨項目が示されていますが、特に以下のつの3点が原則とされたそうです。
・積極的な癌治療、緩和ケアや終末期介護を除く慢性疼痛の治療では、非オピオイド系鎮痛薬
 を使った治療が望ましい。
・オピオイド系鎮痛薬の使用では、オピオイド依存症や過剰摂取の危険を減らすため、最小
 有効量を処方する。
・医療提供者は、常にオピオイド系鎮痛薬の処方を注意深く実施し、処方したすべての患者を
 密接に監視する。


CDCの発表:
http://www.cdc.gov/media/releases/2016/p0315-prescribing-opioids-guidelines.html

CDC新ガイドライン:
http://www.cdc.gov/mmwr/volumes/65/rr/rr6501e1.htm


わが国においては、まだアメリカのような国家的な問題とはなっていませんが、オピオイド鎮痛薬の使用拡大に関しては、かつてのベンゾジアゼピンやSSRIのときのような適応拡大に対する懸念の声もあるようです。わが国のガイドラインはまたの機会に触れることにします。


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

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2018-03

ご家族のつどい@3月のお知らせ

投稿時間 : 12時24分07秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

まじかになって申し訳ありませんが、3月のご家族のつどいのお知らせです。本年は1月2月とLEAPの概要を学びました。3月からはさらにLEAPアプローチを4クール目となり、新たな気持ちで皆さまと学んでいきたいと思っています。どうぞお気軽にご参加ください。

日時:平成30年3月17日(土)
場所:住吉病院ケアセンター
   13:00 開始  (12:30から受付しています)
   15:00 終了
   15:00からは自由参加のご家族同士のフリートークとなります。時間は
   前後することもありますのでご了承ください。

内容:LEAPの”L”

   日常生活の場面でLEAPを使って対応してみたい場面を準備して
   きてください。

お申し込み:ケアセンター宛にお電話を頂くか、ご本人さまを通じてお申し込みください。当日の急なご参加も歓迎しています。当院ご利用者様以外のご家族のお立場の方のご参加もOKです!

お問い合わせについてはこちらをご覧ください→http://www.sumiyoshi-kaisei.jp/s-toiawase.html

[前回ご参加いただいた方々のご感想]
・「仕方がない」はよく使ってしまって○を怒らせてしまっています。使わないように
 気をつけて、つながっている感覚、信頼、関係をもっときずけるように実践して
 いきたいと思いました。
・いろんなことを話せたりしてとても、はげみになります。楽しみにしています。
・私の対話の方法の間違いや、ヒントがほんの少しだけですが、わかったような気が
 いたします。このような会に出会えてよかったです。
・もっともっとLEAPを学びたい。職員さんたちが一緒になって家族のことを考えて
 くださり、有難いなあと心から思いました。これからも通わせて下さい。
・過程ではなかなか学習された事は使えないでいますが、職場で気づいたら使って
 いる自分がいました。対話が足りないと言う事を学習した感じがしました。
・人生でお金の問題は大変な事ですが、皆で会話した事はとても勉強になりました。
 これからも皆でできるだけ話しましょう。
・今回もこれてよかったです。お金の話、むずかしいですね・・・・今後、話しの材料に
 してみようかと感じました。


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

12
2018-03

標準版家族心理教育研修会のお知らせ

投稿時間 : 16時06分23秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

このたび、公益財団法人住吉偕成会では、主に院内研修の一環として日本心理教育・家族教室ネットワークとの共催で、標準版家族心理教育研修会を開催することとなりました。法人内で参加者を募集したところ、本日の時点でまだ若干の空席がありますので法人外部の皆さまにもご案内させていただきます。

標準版家族心理教育研修会in山梨

日 時:平成30年4月21日(土)・22日(日)

場 所:(公財)住吉偕成会住吉病院ケアセンター

参加費:6000円(テキスト代別+1,900円)

講 師:日本心理教育・家族教室ネットワーク認定インストラクター

プログラム概要:
「家族心理教育の総論」 「知識・情報の伝え方」「家族との関係づくり」
「グループワーク実践」「包括的ケアの一環としての家族心理教育」…など

※講義ありグループワークあり、過去の山梨県内での研修会より笑い
 成分30%増量(個人の感想です)の予定ですが、なにより実践的な知識
 やスキルをしっかり身に付けていただけるよう準備をしております!

※2日間通して受講された方には日本心理教育・家族教室ネットワーク
  より終了証を発行いたします。
申込方法: FAXまたはE-mail
・FAXでお申し込みの際は、別紙の参加申込用紙を印刷し、必要事項を
 記入して下記申込先にお送り下さい。
・E-mail でお申し込みの際は、参加申込用紙のファイルに必要事項を
 入力してメールにファイルを添付して下記E-mailアドレスにお送り下さい。
*参加申込用紙のファイルをお持ちでない方は、下記連絡先のアドレス
  までお問い合せください。
参加申し込み用紙のダウンロードはこちらから→http://www13.plala.or.jp/recovery/hyoujunban2018.doc

・お申込いただいた方には、追って参加費振込先を連絡いたします。参加
 費のお振込み確認をもって正式に参加受付完了とさせていただきます。
申込締切:4月6日(金)先着順
※定員になり次第、締め切らせていただきます。

住吉病院/標準版家族心理教育研修会事務局(担当:立入・栗林・中谷)
  〒400-0851 山梨県甲府市住吉4-10-32
    FAX : 055-235-1507          
    E-mail:mail to:psychoeducation.yamanashi○gmail.com
       (○の部分を@に変換してお送りください)


皆さまのご参加を心よりお待ちしております。


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

11
2018-03

7年

投稿時間 : 23時27分21秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

あの日から7年経ちました。 あの経験をされた皆様にとって、筆舌に尽くしがたい困難な月日は少しでも遠のいたのでしょうか。私たちは、今日も離れた地に立ちながら、それでもかの地の人々とつながっている空を見あげたりしながら生きています。

大震災のその日、私は翌日の東京出張の前に出席しなくてはならない会議があって甲府に向かおうと病院を出たところでした。この地でも長く長く続いた大きな揺れに今生の終わりを感じました。その後の発電所の爆発に、5年後はないものと覚悟を迫られました。それでも7年後の今、私たちはまだこの地にあり、これからのことを考えて生きています。震災後に被災された方に心を寄せ、尽力された方のうちには、もうお目にかかることのできなくなった方々もいらっしゃいます。不条理の中にあっていまだに「復興」という文字を見ても実感ができなかったり、さまざまな思いや憤りに近いものを感じたりすることもあります。

私にとり大切な一日であるこの日、ただ頭を垂れて あの日のこと、あのあとのことを思い返し、祈ります。3月10日、とある講演会での私の最初のスライドはこれでした。



最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

19
2018-02

よんもくWRAP@2月のお知らせ

投稿時間 : 07時33分23秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

遅くなりましたが、2月のよんもくWRAPのお知らせです。

 
 
 

山梨で活動をしているWRAPファシリテーターの人々は毎月第4木曜日の夕方、弊病院ケアセンターで、WRAPのつどいを開催しています。

今月もは2月22日(木) 18時20分~20時、住吉病院ケアセンターで行います。
今回は、「調子が悪くなってきていることにに気づき、対応するための行動プラン」をテーマにして語り合う予定です。ご興味をお持ちの皆さま、よろしかったらお越しください。

参加費:200円+熊本地震災害カンパお願いします
※お菓子の持ち寄り大歓迎です

※詳しくは山梨の精神保健福祉を考える会のブログをご覧ください

http://yarimashoukai.blogspot.jp/2018/02/wrap.html


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

07
2018-02

IMR研修会in山梨のご案内

投稿時間 : 19時26分16秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

例え精神症状があったとしても、だれもがリカバリーできます。IMR(Illness Management and Recovery:疾病管理とリカバリー) は、そのひとりひとりのリカバリーの実現に向かって、自分で疾病管理ができるように支援するパッケージ化されたプログラムです。科学的根拠のある心理社会的実践(EBP)の1つとして知られるようになってきています。

山梨で初の開催となる本研修会では、IMRの概要・内容・原則をご紹介するとともに、実践報告としてIMRを活用している方からもお話しを伺います。当日の参加も可能ですので、どうぞ皆様お越しください。

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出演者
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内野俊郎(久留米大学医学部神経精神医学講座)
坂本明子( 久留米大学文学部社会福祉学科)
中村亮太(横浜市立大学医学部精神医学教室)
藤田英美(横浜市立大学附属病院心理室)
ほか
※プログラムの詳細はコンボのウェブサイトをご覧ください。
→ 
https://www.comhbo.net/?page_id=16044

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日時:2018年2月11日(日)10:30~16:00(10:00開場)
 
会場:山梨県立大学飯田キャンパス 講堂
   (山梨県甲府市飯田5-11-1)
最寄駅:JR中央本線甲府駅 南口より徒歩20分
    山梨交通バス 「飯田三丁目」バス停より徒歩7分  
・アクセス:
http://www.yamanashi-ken.ac.jp/info/info/map
 
参加費:事前申込 一般3,000円 コンボ賛助会員2,500円
     当日申込 一般3,500円 コンボ賛助会員3,000円



最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

30
2018-01

さる1月26日に開催された、中央社会保険医療協議会 総会(第387回)で配布された資料を読みました。「個別改定項目について」一つに、向精神薬の適正使用の推進が挙げられていました。これまでの診療報酬改定ではまだ十分に対応できていない漫然投与・多剤大量療法の改善への厚生労働省の利益誘導がなされている、と感じます。以下、抜粋して個人的に感じたことを記します。リンク元もご参照くださいますよう。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000192281.pdf

向精神薬の適正使用の推進
② 向精神薬処方の適正化
骨子<Ⅳ-6(3)>
第1 基本的な考え方
向精神薬の多剤処方やベンゾジアゼピン系の抗不安薬等の長期処方の適正化推進のため、向精神薬を処方する場合の処方料及び処方せん料に係る要件を見直す。また、向精神薬の多剤処方等の状態にある患者に対し、医師が薬剤師と連携して減薬に取り組んだ場合の評価を新設する。
第2 具体的な内容
1. 処方料・処方箋料が減算となる多剤処方の範囲を拡大するとともに、多剤処方時
  の処方料・処方箋料等の報酬水準を適正化する。

現行では3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬の投薬を行った場合処方箋料の20%減産がなされていましたが、改定後は3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬、3種類以上の抗精神病薬又は○種類
以上の抗不安薬及び睡眠薬の投薬を行った場合
に減算とする方針になりました。すなわち、抗不安薬と睡眠薬をベンゾジアゼピン系薬剤はこれまで抗不安薬2種類、睡眠薬2種類で計4種類まで減算対象になりませんでしたが、次年度からは双方を合計して規制をかけようとするものと思われます。おそらく〇の中は4よりも小さい数字が入るものと考えられます。

2.一定期間以上、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬を長期にわたって継続
  して処方している場合について、処方料・処方箋料を適正化する。
(新) 処方料 ○点
(新) 処方箋料 ○点
[算定要件]
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬○剤以上を○月以上又は睡眠薬○剤以上を○月以上、連続して同一の用法・用量で処方されている場合(ただし、直近○月以内に、精神科医から抗不安薬等の処方について助言を得ている患者を除く。)

これはベンゾジアゼピン長期使用への対応策であり、長期使用した場合の処方箋料を減産するものと思われますが、「精神科医から抗不安薬等の処方について助言」というものの内容は不明です。

3.向精神薬の多剤処方等の状態にある患者について、減薬した上で薬剤師又は
  看護師と協働して症状の変化等の確認を行っている場合の評価を新設する。
処方料
(新) 向精神薬調整連携加算 ○点
処方せん料
(新) 向精神薬調整連携加算 ○点
[算定要件]
直近の処方時に、向精神薬の多剤処方の状態にあった患者又はベンゾジアゼピン系の抗不安薬○剤以上を6月以上又は睡眠薬○剤以上を○月以上、連続して同一の用法・用量で処方されていた患者であって、減薬の上、薬剤師(処方料については薬剤師又は看護師)に症状の変化等の確認を指示した場合

1.2.で減算する一方で、ベンゾジアゼピン系薬の減薬を評価しようとするものです。薬剤師が協働する、という文言が入っていることを評価したいと思います。私どもの病院では「薬剤師外来」を設置して薬物療法の適正化を行っていますが、このような方向性を診療報酬上でも評価してもらったことをうれしく感じています。



最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

29
2018-01

成功者であり統合失調症者であり

投稿時間 : 08時05分23秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

南カリフォルニア大学法学部で教授職についているエリン・サックス氏は統合失調症を持っていながら、同大学ロースクールで、法学・心理学・精神医学・行動科学を教えています。彼女は重い精神疾患に苦しむ人々のために活動し、同大学で研究機関「Saks Institute for Mental Health Law, Policy and Ethics」を立ち上げています。

あるきっかけで、彼女が2013年にニューヨークタイムズに寄稿した記事を知りました。
Successful and Schizophrenic  By ELYN R. SAKS
Published: January 25, 2013

http://www.nytimes.com/2013/01/27/opinion/sunday/schizophrenic-not-stupid.html?src=me&ref=general


彼女は16歳の頃統合失調症と診断されました。診断とともに予後の見通しは不良で、自立することや、就職をして結婚をすることもはきないだろう、将来は施設で生活し、テレビを見ながら暮らすことになるといわれました。症状が治まれば、こづかい稼ぎのような仕事ならできるかもしれない、とも。彼女は精神科病院に数回入院しましたが28歳の時を最後にして入院を拒む人生を歩みました。かつて主治医は彼女に両替商のレジで働きなさいとうながしました。それがうまくできれば、あなたの能力を見直して、もっと難しい仕事につけるようにするし、フルタイムの仕事だって可能かもしれない、と。彼女は決意して学問を究める道をすすみました。日常生活では今も妄想に取り憑かれたり幻覚を見たりする症状もって「これはただの病気、気にしすぎることはない」と自分に言い聞かせられる時も多いそうですが、数日間症状に苦しむこともあるそうです。それでも長い年月を経て状況は良くなってきたといいます。

これまでの精神科の常識によれば、彼女のような「成功した」患者は例外中の例外だということでしょう。しかし彼女はUSCとUCLAの共同研究者たちと、彼女が例外でないことを示しました。彼女以外にも、統合失調症をもち妄想や幻覚といった症状に苦しみながら、学問的な成功をつかんだり専門職として活躍している人たちがいることを知り、そういった「高機能」な統合失調症を持つ方々とミーティングを重ねました。その人たちは大学院生や経営者や技術者や専門職(医師や弁護士やNPOの最高御責任者)が含まれており、また、入院経験のある人は4分の3でした。

その結果、「高機能」の人々はみんな、投薬や治療以外に症状を自己管理する方法を開発していたことがわかりました。ある教師の方は、幻覚に対して「それが現実である証拠は何だ? それとも、単に知覚の誤りにすぎないのか?」と問いかけるようになり、別の人は、「私を軽蔑するような声はたえず聞こえてくるけれど… 聞き流せばいいんです」と語りました。

その他にも「引き金」や「注意サイン」を見極めて対処する必要が多く語られました。そして参加者が症状管理の助けとなる行動のうち、最もたくさん言及されたものの一つが働くことでした。「仕事はその人自身の重要な一部」であり「ある組織にとって有用な人間になりその組織で尊重されていると感じるとき、そこに所属すること価値が生まれる」。サックス氏自身も、体調が崩れかける時には、医師や友人や家族にヘルプを出したりさまざまな自己対処を心がけていますが、仕事は最良の体調自己管理法で、仕事をしていれば精神が集中するし、わずらわしい症状もおとなしくしてくれるそうです。

だからこそ、医師が患者に充実したキャリアを期待したり追求したりするなと言うのはとてもやりきれないと彼女は言います。精神科医のアプローチは、特徴的な症状を見るだけで人間を見ないことが、あまりに多すぎる、と。多くの精神科医は、薬で症状を治療することが精神疾患を治療することだと考えているけれど、これでは、個人の能力は考慮に入らないし、患者が人生で何を達成したいと望んでいるかをメンタル・ヘルスの専門家がないがしろにしてしまっている、と彼女は指摘します。もちろんこのことは統合失調症に限ったことではなく、さまざまな精神疾患において、その症状を治療するだけでなく、それぞれの人のストレングスに対してアプローチし、「病気の中にある健康な部分」を見つけることが治療のゴールとなるべきです。

「医師たちは患者に、もっと人間関係を発展させたり、意味のある仕事につくように励ますべきなのです。医師たちは患者を勇気づけ、自分の症状を管理するテクニックを見つけ、自分で決めた生活の質を目指すように後押しすべきなのだ。そして、医師たちは患者に、そうしたことを実現させる資源―精神療法、適切な薬、支援―を提供すべきです」、と彼女は述べています。

「すべての人は、世界にもたらすことのできるユニークな才能やユニークな自己をもっている」。統合失調症や他の精神疾患の診断を持っていても、誰しもが望んでいることをその人々も望んでいるという現実があります。その誰もが望んでいることとは、ジークムント・フロイドの言葉によれば、仕事をすることと人を愛することなのだそうです。



ビッグイシューでの彼女のインタビューによれば、
「私のケースは特別で、こんな高機能な患者はいないとよく言われますが、 そうではありません。この疾患に対する偏見が強いため、病気の人たちが打ち明けられないのです。医師が患者に自分にあまり期待しないようにと告げるのも間違っていると思います。」

彼女は医師による偏見についても指摘しています。彼女がロースクールで学んでいた折「身体拘束」について論文を書いた時、精神科医でもある法律の教授と話していて、身体拘束は痛くてとても屈辱的だと訴えると、「君は分かってないね。“彼ら”は精神疾患なんだよ」と教授は言ったそうです。精神疾患を持つ人がそうでない人と同じ「高機能」な人間とは考えていないのです。だから彼女は言ったのです。「いいえ。“私たち”はあなた方と何ら変わりません。」

私は彼女に大きく勇気づけられて、つい、amazonで彼女の書いた本を購入してしまいました。少しずつ読んでいきたいと思っています。


彼女のTEDでのスピーチも素晴らしいです。こちらから見ることができます→https://www.ted.com/talks/elyn_saks_seeing_mental_illness?language=ja


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。