公益財団法人 住吉偕成会 住吉病院

甲府市の『公益財団法人 住吉偕成会 住吉病院 』の”エンパワメント”ブログ

14
2018-04

2年

投稿時間 : 08時54分15秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

一連の熊本地震の発生から今日でまる2年となります。この震災では267人の方が犠牲となりましたが、そのうち避難生活による体調の悪化などで亡くなった災害関連死と認定された人が211人となっています。

wikipediaより

弊法人からも精神科救援活動DPAT(Disaster Psychiatric Assistant Team)の山梨県班第3班として、5名がさる5月5日から5月9日まで、熊本県宇土市で活動を行いました。

私たちは災害の支援をさせていただくことで多くのことを学ばせていただきました。自らも被災されながら、地域の方々のために活動を続けておられる宇土市医師会の先生方や行政の方々の姿に、医療者としての自らの原点はなにか、人として生きるということはどういうことなのかを自問し、勇気づけられました。自らの経験から学んだことを次の人につないでいき、多くの方々の心の平安に貢献したいと思うようになりました。

現在でも仮設住宅や民間の賃貸住宅を借り上げたみなし仮設住宅などに入居している方々は3万8112人にのぼります。自力では住宅を再建できない方々のための災害公営住宅は、1735戸が計画されているのに対してし、設計・工事に着手したのはまだ1049戸にすぎません。

現在、2020年のオリンピックやリニア新幹線や新たな学校建設についての情報がたくさんメディアをにぎわせていますが、同じ国の中でいまだ困難の中にある仲間のことを今一度思い起こす日としたいと思います。


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

11
2018-04

Psychoeducationってなんだ?

投稿時間 : 21時01分50秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

弊ブログhttp://blog.cabrain.net/CN010030/article/id/104486.htmlでご案内させていただいた、日本心理教育・家族教室ネットワークとの共催で開催される標準版家族心理教育研修会は、4月6日をもって予定した参加者数にお申込みが達しましたので、受付は締め切りとさせていただきました。

今回は日本心理教育・家族教室ネットワークから講師が派遣されての研修会となりますが、「心理教育」とはどのようなものであるかについて心理教育・家族教室ネットワークのHPより引用させていただきます。

<心理教育とは>
「精神障害やエイズなど受容しにくい問題を持つ人たちに、正しい知識や情報を心理面への十分な配慮をしながら伝え、病気や障害の結果もたらされる諸問題 ・諸困難に対する対処法を習得してもらう事によって、主体的に療養生活を営めるように援助する方法」と定義されています。つまり、病気や障害、そのほかの問題を抱えて、知識もなく、相談もできず、途方にくれているご本人、ご家族に必要な知識や情報を知ってもらう機会を広げ、どう問題に対処するかを協働して考えることで、ご本人やご家族が自分たちの問題に取り組みやすくなり、何とかやっていけるという気持ちを回復する、そういうことを目指している支援法のひとつで実証的効果も確認されています。家族だけのこうした集まりは家族教室とも呼ばれます。
※ 詳しくはこちらをご参照ください
http://jnpf.net/


今日は、ここでも示されている「教育」についての私見を述べてみます。

教育とは英語の”education”の訳として明治以降使われるようになった単語です。語源としては、”educatio”というラテン語から由来するものとされているそうです。この語は、もともと、動植物の生命を引き出し、それを飼育したり栽培したりするということを意味していたとされ、それが徐々に子どもを養い育てること。つまり、親が子どもの成長が引き出されることを願い、育てることを意味するようになったとされています。この語には、子どもが生れながらもつ諸力を引き出すように、生れついてもつ状態を考慮し、その能力の内部における成長を待ちつつも、同時に、能力が発揮できるように外部から働きかけるという二重の意味があるそうです。

明治のはじめ、”education”の翻訳に関して大久保利通氏と福澤諭吉氏と森有禮氏が論争したといわれています。大久保氏はこの語の訳として「教化」が望ましいと主張し、福澤先生は「発育」が適訳であるといい、森氏はその間をとって「教育」としたそうです。「教育」はそれまでには儒学の影響を大きく受けた言葉で、政治的に上に立つ者が下に立つ者に指示する際に用いられてきた言葉でした。そのために、子どもたちに知恵を授け育てていく仕組みとしての学校について、福澤先生は次のような「文明教育論」を、 1889年8月5日付の「時事新報」社説として発表しました。

「一概に教育とのみにては、その意味はなはだ広くして解し難く、ために大なる誤解を生ずることあり。
その事にあたり物に接して狼狽せず、よく事物の理を究めてこれに処するの能力を発育することは、ずいぶんでき得べきことにて、すなわち学校は人に物を教うる所にあらず、ただその天資の発達を妨げずしてよくそれを発育するための具なり。教育の文字ははなはだ穏当ならず、よろしくこれを発育と称すべきなり。かくの如く学校の本旨はいわゆる教育にあらずして,能力の発育にあり……。我が国教育の仕組はまったくこの旨に違えりといわざるをえず。

つまり、福澤先生は”education”を「教育」とは訳すことは妥当ではなく、「発育」と訳すべき、と考えていたようです。この文脈においては特に国が必要と考えて用意した課題を与え、その課題を解けるようになるかどうかを求めるような過程は”education”ではないとなります。

重要なのは「事にあたり物に接して狼狽せず、よく事物の理を究めてこれに処する能力」つまり、人生上のさまざまな出来事としての応用問題になんとか対処ができるよう能力が身につくように双方的にアプローチすることが”education”なのではないかと個人的には思っています。

山住正己編:福澤諭吉教育論集、岩波文庫、1991

私は日本心理教育・家族教室ネットワーク認定のインストラクターをさせていただいていますが、ご家族との間においてもご本人との間においても「Psychoeducation:心理教育」においてはネットワークの理念にも従い、双方向性=対話を心がけていく所存です。



最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

10
2018-04

ご家族のつどい@4月のお知らせ

投稿時間 : 08時23分34秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

またまたまじかになって申し訳ありませんが、4月のご家族のつどいのお知らせです。本年は3月からはLEAPアプローチを学ぶシリーズの4クール目となり、新たな気持ちで皆さまと学んでいきたいと思っています。どうぞお気軽にご参加ください。

日時:平成30年4月14日(土)
場所:住吉病院ケアセンター
   13:00 開始  (12:30から受付しています)
   15:00 終了
   15:00からは自由参加のご家族同士のフリートークとなります。時間は
   前後することもありますのでご了承ください。

内容:LEAPの”L”その2

   日常生活の場面でLEAPを使って対応してみたい場面を準備して
   きてください。

お申し込み:ケアセンター宛にお電話を頂くか、ご本人さまを通じてお申し込みください。当日の急なご参加も歓迎しています。最近口コミなどでこの会をお知りになり、当院ご利用者様以外のご家族のお立場の方もいらっしゃるようになりましたが、もちろんご参加はOKです!

お問い合わせについてはこちらをご覧ください→http://www.sumiyoshi-kaisei.jp/s-toiawase.html

[前回ご参加いただいた方々のご感想]
・今後も参加させていただきます。実せんできる内容でよかったです。
・こちらの話を聞いてもらいたいが強く相手の気持ちになっている状態がなかった。
 自分の言葉に責任を持って冷静に話を聞くようにしようと思った。
・よかったです。
・周囲のアドバイスがあり、子どもの具合も良くなり、今はほっとして感謝の気持ちで
 いっぱいです。
・皆で語りあうことのあたたかさを感じることで、元気が出てきました。
・私の行き場所が一つ増えました。この場に参加なさっている方々のお話をいっぱい
 聞きたいです。
・家族会に参加する前は、必要性をあまり感じてはおりませんでした。参加させて
 いただいて、共通の悩みや対処法に気がつきました。本で読むだけではわから
 ない、LEAPの実践法も大変勉強になりました。
・早速今から実行していきたいと思います。
・他人に話を聞いてもらったり、他人と話をすることが大事なんだと改めて思いました。
・また来月も勉強させてください。
・家の娘は両親が年を取った後のことをとても心配しています。そんな時はどの
 ように話をしたらいいのでしょうか。


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

02
2018-04

新年度にあたり

投稿時間 : 12時57分33秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

弊法人でも新年度にあたり、昇任者、新規採用者に対する辞令交付式が執り行われました。式典における松野正弘理事長による訓示の概略をご披露いたします。


 昇任された方、新たに入職された方々にお祝い申し上げます。新たな年度を迎え、医療費の改定はプラスの方向性となりましたが、物価高もあり、落ち着かない状況にあります。
 当法人は64年前に故・有泉信先生が田んぼと桑畑の中にこの精神科病院を創建されて以降、さまざまなことを経験して齢を重ねてきました。わが国の精神科医療は歴史的に他科に比べて遅れをとってきましたが、我々は創設者・有泉先生のご遺志を継いで地域に根差した、垣根の低い医療福祉で地域に貢献する実践を行って今日まで来ました。我々は県下で11ある精神科病院の1つとして、時にそれらをリードしていこうという自負を持ってやってきたわけです。ここに新たな人材として皆さんを迎えて非常に心強く思っています。
 精神科医療では人権などの問題が指摘されており、皆さんは患者さんに対してあたたかい気持ちで接して行く事が大事であることを肝に銘じてほしい。今年度に竣工する新病棟の運営にも頑張って協力してもらいたいです。
皆さんには、早く職務に慣れて、健康に留意し、明るい職場を作ってもらいたいと希望しています。一緒に頑張りましょう。




最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

30
2018-03

弁護士相談会のお知らせ

投稿時間 : 12時28分13秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

弊法人では、法テラス山梨様の巡回相談を利用して、ご利用者様の法律相談会を開催することといたしました。

日 時:2018年5月14日(月)14:00~16:00
場 所:住吉病院内(病棟面会室・外来相談室等)
対象者:住吉病院を利用されている方
※ 山梨県弁護士会から弁護士の方が来院されて法律相談に乗って
   くださいます

申し込み:担当ケースワーカーにまずご連絡ください。
       申込用紙をお渡ししますので、お書き込みいただいた上で封筒
       に入れて、封をしてからお渡しください。
       ・内容をあらかじめ病院スタッフに伝える必要はありません。
       ・封筒にはお名前だけお書きください。
       ・詳しくはケースワーカーにお尋ねください。
              


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

22
2018-03

岐阜よりのたより

投稿時間 : 21時13分55秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

http://blog.cabrain.net/CN010030/article/id/104233.html
でご案内させていただいた通り、先月、岐阜県精神保健福祉会連合会さまにお招きをいただき講演をさせていただきました。過日、当日のアンケート結果をお送りいただきました。私自身がとても励まされる内容でしたので、一部をご紹介させていただきます。

当日は81名の方にお集まりいただき、うち60名の方にアンケートをお書きいただけたとのこと、あらためてお礼申し上げます。

【アンケートより】

・その人と力を合わせて困っている所に取り組む姿勢とても勉強になりました。
・担当している入院患者さんに何もできていないことを教えて頂いた様に思います。
 型にはめていたことにも気づくことが出来ました。まだまだ多くのことを学んでいき
 たいという意欲が湧きました(医療関係)
・支援者としても自分たちの関わりについて振り返りを致しました。精神科医療が
 変わるとともに、地域の福祉が変わっていかなければならないと思います(事業所)
・大変勉強になりました。自分たちに必要なのは議論でもなく、教育的な面からの
 指導ではなく、何よりも大切なのは対話であると痛感しました。
・「人は人と居ると自分の中で対話する」の言葉が心に残りました。
・諦めより希望を持たなくてはと思いました。難しい事もあるのでしょうが、出来る事を
 少しでも生かしていこうと思います
・私「ホ・オポノポノ」の実践者です。私個人的には「スピリチュアル」に助けられました。
・相談を受けている中で「薬を飲みたくない」という方や病識のない方等あり、幻聴や
 イライラ感で生きづらさを感じている人がいます。対話を大切にしながら、一緒に
 考えていきたいと思いました。
対話が大切なことがよくわかった。上から目線に気をつけたい
・家に帰って今日聞いた話を思い出して子供とこれから「対話」していきたいと思います
・精神科医療とは日進月歩の世界で治療法も当事者にとって当事者本位になって
 いくようになり話すことが大切なのだと勉強になりました。なかなか難しいけど希望
 の持てる話でした
オープンダイアローグというのは、派手な症状を示す人向きなのかなと思います。
 それともうひとつ思うのは、対話法が効果的なのは家庭内暴力の人とか、境界性
 パーソナリティ障害の人のような人生や生活が上手くいかなくて不満があり感情が
 処理しきれなくて爆発させるような人ではないでしょうか。本物の統合失調症の人
 には薬無し、対話のみで解決できるとは思えないのですが
・よい時間を共有できて嬉しく思っています。このような講演会に積極的に参加したい
 と思います。
・話を聞いて、自分自身との関わり方を学びたいと思った
・内容が多岐にわたり少し難しかった。質疑応答は具体的で身近な問題として
 よかった
・息子と対立することが多くて開かれた対話性について思い当たるので注意して
 やってみようとおもいます
・オープンダイアローグ、ACT等チームによる治療が普及していくことが重要と思われ
 ますが、その際単科クリニックではついていけないように思われます。そこで専門大
 病院又は総合病院の役割と単科クリニックとの役割が変化せざる得ないと思われ
 ますがどう思われますか?
とても参考になりました。わからないことがまだいっぱいあります
・困ったら何より相談してます。対話で解決出来ています。「対話良好」講演を聞いて
 考えさせられた
・わ質疑応答が自分の悩みと同じでよかったです。またお話が聞きたいです
・家族として当事者に向かう心の有様がわかり考えさせられました
 「なるほど」←実行したいです。幻聴や妄想を否定せず「傾聴する」
・対話で改善・治癒するなら理想的な方法ぜひ普及してほしい、対話の方法を具体的
 に知りたい(現在通院しているクリニックでは患者数が多くて対話の時間数をとる
 ことが困難では?)
・話を聴くというのは大切だと改めて感じた。誰でも話を聴いて欲しいと思うし聴いて
 もらうだけで安心する人もいる。孤独でいることが病状の悪化を進めてしまうと思う
・対話の大切さを実感いたしました。息子は全てお見通しなところがあります。
 「なるほど」続く対話を意識して、「いやだけど・・・」という言葉はやめます。薬が全て
 ではない。もう少しやわらかい頭になりたいです
・現実に生活している者はどうしたらよいのか。家に閉じこもっている家族とどのよう
 に接するのかそういう話も先生の講演で聞いてみたい。
・精神科の医師にオープンダイアローグはどれほど浸透しているのでしょうか?
 統合失調症の主治医の変更はどんなときに必要でしょうか
・40年も50年も通院治療しておりますが、医師に不満もあり対話の必要性に痛感
 します


※東海地区の朝といえばモーニングセットです。このお店は小倉あんトーストと
  卵でした


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

21
2018-03

IPS援助つき雇用勉強会@3月のお知らせ

投稿時間 : 22時04分36秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

住吉病院とすみよし障がい者就業・生活支援センターでは、2008年よりIPS(Individual Placement and Support)モデルによる援助つき雇用に関する勉強会を開催しております。毎回いろいろな立場の方と学びを深めつつ、回数を重ねてきています。今シーズンは新しい本をみんなで読み、語り合う形式で開催しております。今回読み進めていくのは以下の本です。皆さまとまた深めてまいりましょう。

サラ・スワンソン 、デボラ・ベッカー 著,    林 輝男 編集, 翻訳:IPS就労支援プログラム導入ガイド -精神障がい者の「働きたい」を支援するために 。星和書店


IPS援助付き雇用勉強会2018年3月

日時: 2018年3月27日(火) 18:30~ 
     ※IPS勉強会は毎月第4火曜日です

場所: 住吉病院 ケアセンター(今回は場所が違います)
      アクセス→
http://www.sumiyoshi-kaisei.jp/s-toiawase.html
内容: 「IPS就労支援プログラム導入ガイド」
     第2章『IPS就労支援フィデリティアイテムの導入にあたって』
         『スタッフ:就労スペシャリストが支援できるクライアント
          数について』
         『スタッフ:就労支援に特化する』
         『就労支援全般を担う』
         『組織:精神保健支援チームとの支援統合』

お問い合わせは、すみよし就業・生活支援センター・中島/渡邊までご連絡下さい。はたらきたいと願う障害をもつ人の就労支援を進めるため、福祉・雇用・教育の関係機関、そして企業の皆様とのさまざまな情報の共有を行なうことを目的に、山梨県が開設した就労支援のポータルサイト『はたらき甲斐net』では「コラム」にて弊法人の「すみよし障がい者就業・生活支援センター」によるさまざまな活動の様子をご報告しております。是非、ご覧ください。http://www.hatarakikai.net


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

19
2018-03

弓のように

投稿時間 : 23時07分15秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

私の仲間たちは精神的困難を経験した方々が働こうとすることの応援をしています。

「働いて元気になる!」を胸にしている人々が自ら人生を変える瞬間に立ち会い、そしてそれに立ち会った人もまた自らも己が生き方を変え、一歩を踏み出していくことがあります。そのような連鎖に立ち会えることは自分自身の学びであり、かけがえのない贈り物だと感じます。

いま、新たな道を切り開いていこうとする方々を目の当たりにするとき、レバノンの詩人、ハリール・ジブランの「子どもについて」の一節を思います。
※「ハリール・ジブラーンの詩」神谷美恵子・訳(角川文庫)より。


あなたがたは弓のようなもの
その弓からあなたがたの子どもたちは
生きた矢のように射られて、前へ放たれる。
射る者は永遠の道の上に的をみさだめて
力いっぱいあなたがたの身をしなわせ
その矢が速く遠くとび行くように力をつくす。
射る者の手によって
身をしなわせられるのをよろこびなさい。
射る者はとび行く矢を愛するのと同じように
じっとしている弓をも愛しているのだから。


最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

18
2018-03

触法精神障害者とIPS援助つき雇用

投稿時間 : 10時58分34秒

カテゴリー : メンタルヘルス

ジャンル : 指定なし

法務省では、罪を犯した人々の社会復帰と再犯予防に関しての総合施策において、無職の保護観察対象者の再犯率は有職者の再犯率の約5倍となっていることを指摘し、無職者による再犯が顕著な現状からすると、再犯防止のために就労の果たす役割は大きいとしています。

わが国の「医療観察法」では地域処遇についてのガイドラインはありますが、就労支援に関しては明確な方向性が提示されていないような気がします。しかし、精神疾患を有する方も、そうでない方と同様に再犯防止の観点から就労支援を利用することが意味を持つ場合もあるような気がします。

アメリカでは犯罪歴のある精神疾患を持つ方へのIPS援助つき雇用に関する研究もなされています。

Bond GR, Kim SJ, Becker DR, et.al.: A controlled trial of supported employment for people with severe mental illness and justice involvement. Psychiatric Services 66(10):1027-34, 2015

抄録をご紹介すると、筆者らは雇用は、重度の精神疾患を持つ人、特に刑事司法に関与している人々のコミュニティ生活への参加の鍵であるとし、重度の精神疾患を持つ人々が競争的雇用を達成するための科学的根拠に基づく実践(EBP)としてのIPSモデル援助付き雇用が逮捕歴や拘留歴のある重度の精神疾患を持つ人に有効かどうかについて、比較検討するための研究を行いました。
この研究では、無作為化比較試験では、重度の精神病をもち司法的関与を有する87人の参加者をIPSとピアサポート支援を伴う求人クラブアプローチを提供した比較グループに振り分けて、12ヶ月後に競争的雇用に関する成果を調べました。
1年間のフォローアップにおいて、IPSグループの参加者は対象グループよりも多くの割合で競争的雇用をに至っていました(31%対7%、p <.01)。入院率(51%対40%)や逮捕(24%対19%)または再投獄(両群とも2%)に関しては、フォローアップ期間中にIPSグループと対象グループの差は有意ではありませんでした。
結論としては、重度の精神疾患を持っている司法に関与されている人々が雇用を達成するためには、IPSが効果的なモデルであると示されていますが、その成果は従来のIPS研究のものに比べて控えめだったと彼らは述べています。
筆者らは結論として、精神疾患を持つ人々における司法的関与の割合を考えると、IPSの雇用スペシャリストは司法的関与のある個人との仕事における能力を高める必要があります。このグループの人々の雇用水準を高めるためには、連邦および州の法制度に対する変更だけでなく、IPSモデルのさらなる強化が必要になる可能性がある、と記載しています。

論文はこちらよりフリーでご覧になれます(pdfファイルです)
https://ps.psychiatryonline.org/doi/pdf/10.1176/appi.ps.201400510



最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。

17
2018-03

この度「山梨オープンダイアローグ学習会」は、これまでもナラティヴなアプローチでご指導いただいた山梨英和大学の田代先生を、再びファシリテーターとしてお招きし、参加型の学習会を企画しました。オープンダイアローグ学習会に多くの方にご参加いただくことで、山梨でも精神障がいをお持ちの方が社会に参加し元気になれる可能性を広めたいと思います。どなたでも参加でき、精神保健医療福祉を大きく変える潜在力を秘めた技法であり思想でもあるオープンダイアローグを一緒に学んでみませんか?!!


日 時: 2018年3月24日(土)午後1時~午後4時
場 所: 山梨県立大学 池田キャンパス101講義室     
演  題: 「未来語りのダイアローグ~ナラティヴなアプローチの実際~」
参加費: 一般 1000円/学生・手帳所持者 500円
主 催:山梨オープンダイアローグ学習会
共 催:公益財団法人住吉偕成会
     山梨県立大学大学院看護学研究科精神看護学専門分野

※事前申し込み:不要
お問い合わせ:〒400-0851 甲府市住吉4丁目10-32 (公財)住吉病院
       TEL:055-235-1521   担当:CNS 佐野
なお、メールは山梨県の精神保健福祉を考える会アドレスにお願いします:
       yarimashoukai○gmail.com 〇を@に変えてご送信ください

第4回学習会のフィードバックの一部をご紹介します。

・改めて「聴く・話す」を区別することの大切さを知った。自分の「内なる声」
 を、対話を通して聴く事ができた。
・対話を通じていくうちに、その人の経験が厚くなっていくというプロセスを
 演習を通して思いました。板書を見たり、演習での語りを聴く事で、ポリ
 フォニーが生じ、自分の事を知ったかぶりしていたのではとも思いました。
・患者理解や寄り添う事も大切ですが、援助する側のNS自身の感情に
 気づくことも大切であると思いました。話を聴くことの大切さを痛感しました。
・対話を持つ機会が少なく、軽視しがちでありましたが、今回の語る会で
 対話による効果により、マイナス面からプラス面に切り替わる事ができる
 のを今日の会で把握する事ができました。しかし、オープンダイアローグ
 についての説明をもう少し理解しやすく説明して頂けたらと思います。
・率直な意見が出し合えて、自分自身および他者に向けて新しい考え方が
 出てきました。良い勉強会ですね。大変感謝します。
・AD(未来語りのダイアローグ)について今から、過去を振り返っても、現在
 を変えることはできないけど、未来を想像して、そこから過去(現在)をふり
 かえると、未来をかえることができることができるかもしれないと思いまし
 た。未来を想像するのは難しいけど、面白かったです。
・理論ではなく、体験の学びはすばらしいと実感しました。内的対話が活性
 化される体験ができて、良かったです。
・語ると聞くを分けることで、自分が深まることを実感しました。精神医療の
 権力性について考える必要があると思った。開かれた対話は新たな
 気づきの扉を開くと思った。
・未来語りのダイアローグは、こころがポッカポカになるんだなあーと感じ
 た。夢・希望、よく分からないけどうまくいっているイメージの力強さを
 感じた。自分の内的対話にも注目しながら、外的対話のおもしろみも
 あった。この場に表現されるすべてを全員の責任で、山分けしている感じ
 がした。人生は、結果ばかりでなくプロセスが中心ってことを振り返った。
・質問する方(プレゼンター)も含めて、ADの練習をもう少しくり返してしたい。
・人の悩みを聞いていて、自分の内の深いところからわいてくるものを感じ
 ました。自分との対話もうまれるな・・・と思いました。
・”相手の話を聞くことに徹する“ことも自分の内なる対話”が活性化されて
 いき“自分なりの答え”“おさまり”が出てくるのだろうと思います。
 “その人”が“おさまる”ことが大切だと思います。
・新ためて、きちんと勉強していきたいと思いました。
・○さんの課題がファシリテーターとのダイアローグで厚みを増し、支援者
 の感想を聴くことで収まる(治まる)様子が見られていました。前回、小
 グループでのセッションでしたが、今回、○さんの課題を全員で聴くこと
 で、一体感がありました。板書下手でしたが、板書がこの一(本)感に
 ひと役買っている気がしました。


みなさま、また対話の場でお目にかかれれば幸いです。

最後までお読みいただいた方、どうもありがとうございました。