社会福祉法人 幡多福祉会 幡多希望の家 (旧重症心身障害児(者)施設) 

高知県宿毛市にある『社会福祉法人 幡多福祉会 幡多希望の家 (旧重症心身障害児(者)施設) 』のブログ

投稿時間 : 18時36分25秒

カテゴリー : 施設長の思うまま記

ジャンル : 医療コラム

2019/4/19
施設長 山本洋

私は今希望の家の施設長室で点滴を受けながらこのブログを書き始めた。

 三日程前から、イレウス(麻痺性腸閉塞)のような症状が始まった。食べては吐くことを繰り返して昨日は輸液のみで過ごした。点滴治療が効いたのか排ガスが始まり腸管の蠕動音が聞こえるようになった。今日はお世話になっている近くの病院でレントゲン検査を受けた。多量の便塊があった。点滴の薬と内服の薬そして尾籠な話で申し訳ないが浣腸してやっと、肛門近くの硬便が出て、やっと一息つくことができた。今はダメ押しの点滴治療の最中である。

 実は私は7年前平成24年3月28日胃癌の手術を受け、胃を4/5切除した。

 幸いそれは早期胃癌の状態で診断されたので、再発の可能性はかなり低いものであった。それでも胃癌なので外科の主治医から半年、一年後の検査を受けるように指示されていた。半年後の検査では胃カメラ検査も、CT検査も問題なかったが一年後の検査で胃カメラ検査を受けると、1/5残った胃の真ん中に粘膜下腫瘍が見つかった。大きさは直径が約4センチあった。半年でそれだけ大きくなるのはやはり、胃癌の再発が考えられたが、その後の精査で胃癌の再発ではなさそうだが、悪性腫瘍の可能性が強いのでまた開腹手術を受けることになった。平成25年6月5日手術を受けた、術後に病理検査の結果を聞くとデスモイド腫瘍と告げられた。転移はしないと言われている腫瘍だが術後の病理検査結果から局所に再発する可能性が強いので、半年毎の精密検査をまた同じ主治医から指示された。

こ の幡多希望の家に赴任したのは平成28年5月である。赴任する前月の4月に定期検査を受けて異常なしといわれて、5月1日に赴任した。半年が経ってやっとこの施設での医療や療育が少し見え初めて来たかと思っていた矢先11月7日、前回から半年後の検査を受けたところ今度は膵臓に腫瘍があると診断された。9日にはERCP検査(内視鏡的逆行性膵胆管造影)を受けた。検査は痛みを伴うので鎮静剤で眠っていたが、痛みで目が覚めた。膵管が詰まっていてカテーテルが入らないと術者が話している。先輩医師に変わったのか再度挑戦との事、狭窄している部位に管を通そうとしたときの痛みで目が覚めたのである。先輩医師がしてもやはりカテーテルは通らなかったようで、痛みだけが強烈に出てきた。口から内視鏡が入っていて話すことが出来ない。手で処置台をたたいて痛みが強いとアピールしてまた眠らされた。眠りに入る瞬間にやっぱり膵癌かと脳裏に走った。あれよあれよと言うまに18日には3回目の開腹出術を受けた。外科の主治医の配慮で、膵癌が疑われてから11日目に手術になった。たまたま中止になった手術室を抑えてくれたのである。もちろん自覚症状はまったくなかったのである。

さすがに3回目は堪えた。しかも相手は膵臓癌である。ステージはⅡa、早期ではなかった。

続きます。

投稿時間 : 15時41分36秒

カテゴリー : 施設長の思うまま記

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2019/4/17

施設長 山本洋

先日入所者の方(Aさん)の母親と面談した。Aさんは32歳、2歳の冬高熱を発症して

その後脳炎と診断された。それが原因で重篤な障害を負ってしまった。ここ何年か食事の摂取が次第に困難となって痩せが目立つようになり経鼻チューブを挿入して必要な栄養と水分を補っている。

 以前から当院の医師から、御両親に胃ろう造説の提案をさせていただいていた。しかし御両親は胃ろう増設には賛成してくださらないと、前任の施設長から申し送りを受けていた。御両親は口から食べることを大事にしておられるようで、口から食べられなくなることに抵抗があるようだ。更に胃ろうを造ると自由に寝返りが出来なくなると心配されていた。私は最近の胃ろうキットでは、色々な種類が会って、、寝返り等の動きが制限されるようなことのないものもあることを説明した。更に今の状態では口からだけの栄養摂取では必要なカロリーが不足すること。そして胃ろうを造ったからといって口から食べることを中止するわけではなく、スムースに食べられるものは積極的に食べていただくこと。好きなものを選んで口から食べていただいて、不足する栄養があれば胃ろうから補うようにすることなどを説明した。鼻から管が入ったままではやはり嚥下にも多少は問題がある恐れがあり、管が入っていることで誤嚥性の肺炎を併発する可能性があることなどを説明した。

 母親は御自分の母親が90歳を過ぎて食べれなくなり、医師から胃ろう造設を勧められて同意した。それから数年が過ぎているがほとんど意思疎通が出来ない状態が続いていると話し始めた。それがただ生かされているようで切ないのですと話す。現在96歳になるという。90歳を超える超高齢者が食べられなくなったときに胃ろうを造るかどうかは、議論のわかれるところではある。ただ、Aさんは32歳、ベッドサイドに行くとはじけるような笑顔を見せてくれる。ご両親が来られると満面の笑顔である。そして乙女である。これは私個人の好き嫌いであるが、鼻から管を入れているのを見るのは好きではない。出来れば抜いてすっきりさせてあげたいと思う。

 しかし、事は簡単ではない。Aさんの病気は非常にストレスに対して弱い。確実に抗ストレスホルモンを投薬する必要がある。そのため6歳頃までは鼻から管を入れて確実に薬を胃の中に入れていたとカルテに記載がある。近年胃ろうの造設は経内視鏡的に出来るようになり安全に出来るようになった、しかし重症心身障害の方はそれが出来なくて外科的に造設せざるを得ないことがある。当然全身麻酔が必要になり、患者には負担が大きい。特に彼女には大きな負担が掛かることは想像に難くない。

 簡単に判断が出来ることではない。御両親に丁寧に説明して判断していただくしかない。勧める私の方にも大きなストレスである。これが正解と言う答えはない。悩ましい問題であるが避けては通れない課題である。

投稿時間 : 15時33分02秒

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2019/4/9

施設長 山本洋

先日高知市内のクリニックで同じ日に上部内視鏡検査と下部内視鏡検査を受けてきた。いわゆる胃カメラ検査と大腸カメラ検査である。

朝8時半にクリニックを受診して検査前の処置をうける。大腸内視鏡検査の前に大腸内の便塊を出してしまうために2Lの経口腸管洗浄液を飲んで、大腸内をきれいにするのである。洗浄液だけでなく、同量の水分も飲まなくてはいけない。私は以前大腸内視鏡検査を受けたときに、洗浄液2Lでは大腸内がきれいにならずに追加で服用した記憶があり、水分を余計に摂った。クリニックに行く前に服用した水分を含めると午前中に5L以上の水分を飲んでいた。それでも腸管から出てくる液は、十分きれいにはなっていなかったが、主治医は吸引しながら検査をしましょうと話し午後1時過ぎから検査が始まった。まずは胃カメラが始まった。咽喉を通過するときは苦しいが、そこを過ぎると楽になる。主治医は潰瘍の傷跡がありますねと言いながら病理組織検査のために4箇所粘膜組織を採取した。

胃カメラが終了すると、寝ていたベッドが移動し180度回転した。そのまま直ぐに大腸内視鏡検査が始まった。大腸内にかなり洗浄液が残っているためか、吸引しながら内視鏡が大腸内を逆向きに進んでいく。所々で痛みを感じる。私はもともと便秘症であり、更にここ7年の間に3回上腹部の開腹手術を受けているため、癒着が当然あるはずで大腸内視鏡検査は辛いだろうと予測していた。そのため辛い検査の間、それを忘れるためにある落語を覚えて頭の中で話して行こうと考えていた。その落語は上方落語の「住吉駕籠」である。上方だけでなく、東京の落語家も演じておりCD,DVDがあるが、桂米朝師匠や桂枝雀師匠のそれの中に、次のような台詞がある。

「口からけつまで青竹通して裏表こんがり火に炙って人間の焼き物こしらえてやろうか」である。実はその前に次のような台詞がある、

「一辺その頭(どたま)を胴体にへりこませて、臍の穴から世間をのぞかしたろか」

「汝(おのれ)の足と頭を持って、糞結びに結んでしまうぞ」、この様な台詞が、駕籠かきから、「駕籠に乗ってくれ」と懇願された目の前の茶店の親父が、怒って駕籠かきに浴びせる怒りの言葉である。この落語を聴くと何時も思っていた。前の二つは無理だけど、最後の青竹を通す話しは、ありえるなと一人で笑っていた。

と言うのも、私が高知市内の病院で同時期に研修を受けた医師が、世界に先駆けて小腸内視鏡を開発してそれが今世界中に広がっていることである。十二指腸までの上部内視鏡検査と大腸を診る下部内視鏡検査に加えて小腸内視鏡検査が加わったことにより、それこそ口から青竹を突っ込んでお尻から出すわけではないが、口から肛門まで内視鏡で見えることになったのである。この落語の台詞を聞くと何時も、一本の内視鏡検査で口から肛門まで見える時代が来るのかなと思うこと仕切りである。無事に検査が終了して、主治医から説明があった。胃は以前の手術の瘢痕であろうと思われ、大腸は異常なく、結果を聞いて胸をなでおろした。

その晩また枝雀師匠の落語聞いたのは言うまでもない。

蛇足ながら立川談志師匠や、志の輔師匠の住吉駕籠、または蜘蛛駕籠にはこの台詞はない。

更に小腸内視鏡を開発して世界中を指導して回っている医師は高知県出身の山本博徳先生で現在母校の自治医科大学の教授をされている。

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