社会福祉法人 幡多福祉会 幡多希望の家 (旧重症心身障害児(者)施設) 

高知県宿毛市にある『社会福祉法人 幡多福祉会 幡多希望の家 (旧重症心身障害児(者)施設) 』のブログ

投稿時間 : 18時51分59秒

カテゴリー : 施設長の思うまま記

ジャンル : 医療コラム

2019/4/25

施設長 山本洋 

続きです

昨日も点滴をしながらでしたが、実は今日もまだ点滴をする日が続いています。しかし今日は少し元気になっています。

今朝は6時前に起床して、看護師さんに頼んで抗生剤の点滴を受けて、高知医療センターで検査を受けるために7時過ぎに車で出発しました。

出かける前にある看護師さんがこう言いました。

「自分で運転して行くんですか?、大丈夫ですか?最近高齢者の事故が続いているから気をつけて行ってくださいよ。」

他の看護師さんが、

「それは酷い、まだ若いのに」と援護してくれます。

現在62歳、まだ高齢者に分類される年ではないと思いつつも不安がなかったかと言われれば、「不安があった。」

昨晩までの状態で車で3時間弱、約140Km離れた高知市内の病院までの運転の体力があるかと考えると自分でも大丈夫かなとは正直考えないではなかったのである。

しかし昨晩は思いのほかゆっくり眠れて今朝は気分がいい。これなら大丈夫と思って出発した。10時前には無事に到着、検査は血液検査と造影CT検査、検査が済んで結果が出るのを待つ、診察を待つ時間の間に朝食を摂る。やはり食べるとお腹の痛みが出てくる。

参ったなと思いながら、診察室の椅子に座る。このときが一番嫌な時間。

以前高知新聞の所感雑感と言うコラムに書いた事がある。そのときはデスモイド腫瘍の再発が疑われ正月早々に岡山大学病院で検査を受けたときの事を書いたのだが、大学病院の診察室の椅子のすわり心地の悪いことはこの上なかった。特に椅子が悪かったわけではない。気持ちの問題であることは間違いなかった。

デスモイド腫瘍の局所再発を疑われての精密検査で、私は再発を覚悟していた。医師として今まで何度も悪い検査結果の知らせを患者さんやご家族に話してきたか分からない。ホスピス病棟で2年程勤務していたから、患者さん本人に、問われて残された時間がどのくらいかと話したことも何度もある。その私が机を隔てて医師と向き合って検査結果を聞くために座っている椅子である。コラムにこんなことを書いた。


「当時の勤務先がある鳥取市の市民病院、主治医は再発かどうか判断に迷います、といわれての大学病院での検査だった。正月早々当日朝9時に大学病院を受診して画像検査は午後2時から、結果の説明は午後4時半。一日中大学病院で過ごした。

その間の長いこと、そして朝と夕方の診察室で検査結果の説明を受けるときは当然医師の反対側に座る自分がいる。その椅子のすわり心地の悪いこと。

特に大学病院の椅子が悪いのではないが、座っていてもまったく落ち着かない。椅子の問題ではなく場所の問題である、つまりは患者側に座っている自分の心持ちの問題である。

診る側と診られる側との間には大きなへだたりがあり、とても深くて暗い川がある。川幅は広く流れは速く深い。簡単には超えられない。その川に隔てられた医師と患者の心の食い違い、得てして大きなトラブルの基になる。いくら患者さんを「患者様」と呼ぼうが、患者の心は切なく辛い。その辛い心が椅子の座り心地を悪くする。

「今回の検査は問題ないですよ」と言われれば「今日は生き延びられた」とほっとする。その時の椅子のもたれ感は格別のものがある。」

出来上がったCT画像を見ながら、主治医とディスカッションをする、主治医は「腫瘍の再発ではないでしょう」、とのたまう。「自分もそう思います。」、今回も生き延びられたと思った。

それから市内の図書館に寄って「四万十市の自宅に帰った、」はずであった。何と四万十市に入ろうかとする、その時右足の下腿の筋肉が痙攣してしまって、アクセルが踏めない、ブレーキの感覚が分からない。車は連なっている、左足でブレーキを踏みながら少しずつ速度を落として、左端に寄せて停車した。

ストレッチを繰り返して何とか痙攣は軽快して、やっと自宅にたどり着いた。高齢者ドライバーの事故ではないが、一歩間違えば事故につながる事態になっていたかも知れないと思うと背中に冷たいものが流れた。年齢が高くなったからと言うだけではなく、体調が悪いときにも車の運転はよほど自重しないと大きな事故を起こしかねないと反省しきりである。

1週間近く食事が出来ず点滴だけで過ごしていたのだから、血液検査では特に電解質には異常はなかったがそれだけでは済まないものだと改めて認識させられたことであった。夜また点滴をしてもらって、休んだ。

医者の不養生そのものだった。


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