社会福祉法人 幡多福祉会 幡多希望の家 (旧重症心身障害児(者)施設) 

高知県宿毛市にある『社会福祉法人 幡多福祉会 幡多希望の家 (旧重症心身障害児(者)施設) 』のブログ

投稿時間 : 11時25分03秒

カテゴリー : 施設長の思うまま記

ジャンル : 医療コラム

2019/10/6


施設長 山本洋

 今回は少し重い話になります。差別について考えてみたいと思います。今勤務している重症心身障害児者施設に入所している方々の中にもいわれのない差別を受けたことのある方がいると思います。本人のみならず、家族の方にも差別を受けたことがある人がいるでしょう。本人家族への差別だけではなく、昔高知県で初めて重症心身障害者の施設を高知県東部で開設しようとした時に、ほとんど決まっていた土地の周辺の住民が、水が汚染される、環境が汚染される、病気がうつるなどと反対運動をして結局開設の土地を変更しなければ行けなかったことがあったと聞いています。今考えればなんということはない問題だと思いますが、その当時は、反対した当事者は無知のゆえになしたことであろうと思います。

 同じようにいろいろな疾病で差別をうけている人がいます。歴史的に見ればやはりハンセン病の患者さんの受けた差別は凄まじいものがあります。ハンセン病の歴史は古く日本では、奈良時代の日本書紀や令義解に白癩という言葉が出ており、これが現在のハンセン病ではないかとされています。そしてハンセン病患者を収容・救済するために鎌倉時代には、奈良に「北山十八間戸」が僧忍性によって設立され、救済活動が行われています。

 現在では広く知られるようになっていますが、ハンセン病はらい菌によって引き起こされる感染症ですが、その感染力は著しく低く、殊に大人同士での伝染はほとんど見られません。また潜伏期間が長く、適切な治療がなされずに病状が進行すると、皮膚や神経組織などを侵し相貌にも著しい病変を引き起こします。これらの理由から古い時代には、前世の悪業の報いによる業病であるなどとされていました。天刑病などとも呼ばれ忌避の対象になっていました。ノルウェーの医師ハンセンが1873年にらい菌を発見するまでは、遺伝的な疾病であるとも信じられ、患者、家族は様々な偏見や差別に苛まれました。近代になると強引な隔離が行われるようになり、日本では1931年の「らい予防法」により、終身隔離・患者撲滅政策が強硬されました。新憲法下にあって治療法が確立されつつあった1953年になっても、患者らの反対を尻目に強制隔離政策を永続・固定化する「らい予防法」が制定され、1996年まで継続しました。そしてハンセン病の元患者13人が人間としての尊厳の回復を目的として、1998年に国家賠償請求訴訟を起こして2001年5月に熊本地裁は「らい予防法は日本国憲法に明らかに違反すること、厚生大臣、国会議員の立法の不作為が違法且つ有責であってすべてのハンセン病患者に対して、隔離と差別により取り返すことが出来ない、極めて深刻な人生被害を作出したと明確に認定しました。その時の総理大臣である小泉首相は、高等裁判所への控訴を断念して地裁の判決が確定しました。そのあとのいろいろな裁判などのことは新聞の報道などでご存じの方も多いでしょう。

 最近私は岡山県の長島にある元ハンセン病患者の療養所である愛生園を訪問してきました。正式名称は国立療養所長島愛生園といいます。今年の4月1日の時点では155人の方が生活されています。現在ハンセン病の治療を受けている人はいません。愛生園で最後に治療したのは昭和46年であったと聞きました。高知出身の方は2名おられるようです。歴史館を見学して、愛生園の歴史を知り自治会長さんのお話をお聞きしました。大変な苦労をされてきたようです。国の政策として強制隔離が大規模に進められて、愛生園では昭和18年に2021名の患者が入所していました。日本では新規の患者はほとんどいなくなっています。現在は子供の時に感染した外国人の方が日本に来て発症するケースが散見されるようです。

 この強制隔離については、批判が強くなぜ1953年に治療法が確立されてきているのにさらに強制隔離を進めていったのか。これに関わった医療者には大きな責任問題があるように思います。このことについてはまた次回に譲りたいと思います。次回もハンセン病を取り上げます。

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